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ダーティハリー2 =イーストウッド集中講座(36)=<ネタバレ>

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ダーティハリー2(Magnum Force)1973

「人殺し」と書かれたプラカードを持った群集に追われ裁判所を後にする組合幹部カーマイン・リッカ
どうも悪党だが、裁判で無罪になったようだ。

帰路白バイに停められ、問答の最中に同乗者含め警官に射殺される。
凶器はマグナム。
犯人の顔は映らない。

ここでハリー・キャラハン登場。
今回の相棒は黒人のアーリー、前作の相棒チコは転職して教師になったらしい。
二人は上司のブリッグスにこの事件から外される。

その帰り、二人が空港でハンバーガーを食ってると何かトラブルの様子。
ハンバーガーを食いながら近づくハリー。
国内線がハイジャックされたという。

このあたりの展開は第一作を踏襲してて嬉しくなる。

機長に化けてハイジャック機に乗り込むハリー。
犯人に銃を突きつけられたままハリーはジェットを飛び立たせようとする。
その様子に不安になった副操縦士が聞く。

「国際線の機長に失礼な質問ですが、経験は?」
「ない。習ってない」

ここでハリー急ブレーキを引く。

倒れこんできたハイジャック犯を殴り銃を奪う。

乗客を抑えていた共犯が機中を後方へ逃げる。

しきいの向こうへ駆け込んだところにハリーが撃ち込む。

しきいの影から犯人が通路に倒れこむ。


事が終わった後、通報を受けたブリッグス到着。
「遅かったな」
アーリーに銃を渡して立ち去るハリー。

この呼吸だよ
もう最高

(続き)

射撃練習場で交通課の4人の若い警官に出会う。
マグナム44も撃ちこなす元空挺部隊の彼らはハリーをリスペクトしている。
「殺人課に戻ったらまた会おう」


高台の邸宅。
プールではしゃぐ10人ほどの男女。
白バイが現れ、マシンガンで全員射殺する。


折檻の果てに女を殺してしまう売春の元締めも白バイに射殺される。


ついにハリーは殺人課に復帰。

ハリーとアーリーはパランシオという悪党を担当。


その間にも悪党殺しは続く。


ペントハウスにこもる悪党が射殺される。
行き合わせた交通課のチャーリー・マッコイも殺される。

犯人は交通課の4人組の一人デイビスだった。


パランシオに逮捕状が出た。

逮捕に出向くハリーとアーリー。
ハリーは4人組のスイートとデイビスを応援に頼む。
その頃パランシオに警官が逮捕に行くとの連絡が入っていた。
警察の誰かが情報を流したのだ。

パランシオの用心棒がいきなり撃ってきてスイートが殉職。
パランシオは銃撃戦の中で死亡。


帰宅すると地下駐車場で3人の白バイ警官が待っている。
例の4人組だ(今は3人組)。
ハリーに自分達が悪党を射殺していることを告げる。

「あなたなら良く分かるはず。
味方か?ダメなら敵だ」

「見損なうなよ」


部屋に戻ろうと郵便受けを見るとプラスティック爆弾。
同じ頃アーリーも郵便受けが爆発。

ブリッグスに連絡をすると本人が現れた。
ハリーに運転させた車の中で自分が黒幕だと告げ仲間に誘う。

ブリッグス「百年前にやってたことをする。君ならどうする?」
ハリー  「法律を守る」
ブリッグス「君が法律を?仲間になれハリー、腐った規則なんか忘れろ」
ハリー  「腐っていても別の秩序ができるまでは守るんだ」

ん?
規則を守らない”ダーティ”ハリーが「法律を守る」って?
まあ最後はそうなんだろうけど、何か興ざめ。
このセリフなんとかならんかったのかね?

この後、車の中でブリッグスをぶちのめし、追ってきた3人組を港湾施設でかたずけるけど、まあ蛇足みたいなもんだ。

何より車の中の会話がひっかかっていた。

正義を貫いて悪い奴らをやっつけるには多少汚いこともしなけりゃいけない。
というのが第一作のテーマだった。
本作は、そんな奴が増えたらどうなるか?という危険を描こうとしたんだと思うけど、じゃどうしたらいいのか提示していない。
それどころか、ハリーに「腐っていても別の秩序ができるまでは守るんだ」とまで言わせている。

これは第一作テーマの否定じゃないか?
変な規則に縛られて悪党を取り逃がす警察に戻れと言うのか?
もちろん、現実社会ではハリーのセリフが正しいんだろう。
でも我々はイーストウッドからそんなものを聴きたいんじゃない!

途中まで快調だったのになあ・・・

AvatarH2

【A】この呼吸だよ。
もう最高

歌舞伎なら掛け声のかかるところだね。


【A】警察の誰かが情報を流したのだ。
パランシオの用心棒がいきなり撃ってきてスイートが殉職。
パランシオは銃撃戦の中で死亡。

これはブリッグスが相手に発砲させるために仕組んだものだよね?
手下のスイートを犠牲にしてまでね。

【A】正義を貫いて悪い奴らをやっつけるには多少汚いこともしなけりゃいけない。というのが第一作のテーマだった。本作は、そんな奴が増えたらどうなるか?という危険を描こうとしたんだと思うけど、じゃどうしたらいいのか提示していない。

ハリーのキャラクターそのものにも少し手が加えられている。
以前『ダーティー・ハリー』で紹介した特典映像にこの『ダーティー・ハリー 2』の監督が出てきて、1作目があまり物議を醸したもんだから、少し人間味を加えたと言っていた。

同僚の妻や子供との交流、かっての奥さんかと思しき女性との写真、アパートの階下に住むいかにも70年代初頭風フリーセックス感覚の女性(日系女優のようだ)との出会い等が描かれているが、あまり成功したとは思えない。


【A】それどころか、ハリーに「腐っていても別の秩序ができるまでは守るんだ」とまで言わせている。(中略)でも我々はイーストウッドからそんなものを聴きたいんじゃない!

今となってはエンターテイメントとして受け止められているけど、当時はかなり社会問題と密接に捉えられていたものと思う。
命名はいつかは知らないが、『ダーティー・ハリー症候群』なる言葉も生まれたようだ。

新人警官が緊張の中で、逞しく振る舞おうとして行きすぎた暴力を振るうことを指す言葉で、偏った正義感で、微罪でも逮捕への抵抗を理由に射殺したりする。

もっとも以前は『ワイアット・アープ』症候群と呼ばれてたらしく、何もこの映画が生み出したものではないけれど。

少し、クールダウンさせないとマズいと言う意図があったのかも知れない。
少なくとも『必殺仕掛人』と同じってわけには行かなかったのだろう。

それにしても、悪を討っても罪は罪としぶしぶ納得したファンにすれば、第4作で復讐した犯人を逃がすのは受け入れられないだろうなあ。

事によると、それはこのシリーズが既に社会問題ではなく、エンターテイメントとして捉えられるようになってたということかも知れない。

そう言えば第4作でのハリーの暴れっぷりは一際派手だ。

AvatarA

【H】同僚の妻や子供との交流、

その同僚は離婚したけど、生きているとあっては、中途半端な交流にならざるを得ない。



【H】かっての奥さんかと思しき女性との写真、

ハリー・キャラハンらしくない



【H】アパートの階下に住むいかにも70年代初頭風フリーセックス感覚の女性(日系女優のようだ)との出会い等が描かれているが、

このころのイーストウッドは、『恐怖のメロディ』『マンハッタン無宿』『白い肌の異常な夜』などでセックスマニアのように描かれている。
当時はそれがウケていたのかも知れないけどダーティ・ハリーシリーズには全くそぐわない。



【H】あまり成功したとは思えない。

というか、失敗だよね



【H】少し、クールダウンさせないとマズいと言う意図があったのかも知れない。

多分ね。
第一作がヒットしすぎたことによる弊害だろうね。


【H】少なくとも『必殺仕掛人』と同じってわけには行かなかったのだろう。

まあね。
全く違う映画になっちゃうもんね。


AvatarH2

【A】全く違う映画になっちゃうもんね。

それはそうと、この若干問題ありの脚本、マイケル・チミノとジョン・ミリアスなんだよね。

さて、1作目とテイストを変えてきたこの2作目、そして前述のようにまた4作目ではテーマの捉え方が変わる。
この際間を繋ぐ3作目も取り上げようか?

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テーマ : イーストウッド
ジャンル : 映画

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spacecowboys A H

Author:spacecowboys A H
Space Cowboys は、2人の親父です
"A" システムエンジニア・
   中日ファン・世情に疎い
"H" 総務畑・てっちゃん・
   阪神ファン・雑学が得意
2人ともイーストウッド好きの還歴男

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